持続感染判明から1年分の医療記録

B型肝炎給付金訴訟において,一定の時期のカルテの提出を求められています。(詳しい説明はこちら

持続感染判明から1年分の医療記録については,存在しない場合は,不存在の証明を求められます。

いつ感染を指摘されて,それからどうしていたのかということは,カルテの病歴欄に自己申告に基づいて記載されることが多いです。したがいまして,現存するカルテを取り寄せてみると,過去にどういう経緯で感染を指摘されたのかということが判ります。現在通院中の方なら,とりあえず,現在通院中のカルテを取り寄せてみて,初めて必要な時期のカルテがわかることもあります。

カルテの保管期間は,医師法(24条2項)によれば5年間は保管が義務付けられていますのでカルテが残っていないということもよくあります。

たいていの場合は,残っていない場合は,「不存在の証明」をとりつければよいだけなので問題はないのですが,中には,「残っていて助かった!」ということもあれば,「残っていない方がよかった・・・」ということもあります。

 

「残っていてよかった」というは,過去に発症して現在は肝機能(ALT)はずっと正常値という場合,過去に発症していた事実を立証できなければ慢性肝炎の認定ができず,無症候性キャリアとしか認められないことがありますので,こういう場合は残っていてよかった!ということになります。

なおカルテが残っていなくても頑張ってみとめられたこともあります(詳しくはこちらを)

 

逆に「残っていない方がよかった」というのは,慢性肝炎の場合は,過去の発症を指摘されて,除斥期間経過となる場合です。すなわち,発症から20年以内であれば1250万円のところ,20年が経過していると300万円または150万円となってしまいます。

 

また,最近経験した事案で,過去にHBs抗原陰性の検査結果があり,その後HBs抗原陽性となった場合で,その間に,別の病気での化学療法を挟んで陽性に転じていたというケースがありました。持続感染判明から1年分のカルテに,化学療法のことが記載されている場合,化学療法が始まる前からHBVキャリアであったことを示す必要があるというのです。

この事例では,化学療法によりHBVが活性化したとして,幼少期との感染とは認められず,給付金請求自体が認められないという結論に至ってしまいました。当時のカルテが残っていたばかりに,このような指摘を受けることになるとは残念でした。

 

最近国は,化学療法によりHBVが活性化した事例については,和解を認めないという方針で,抗がん剤,ステロイド,などの免疫療法の記載があると,免疫療法実施前からキャリアであったことの証明を求めてきます。この場合,過去にHBs抗原陰性の検査結果があると,まず認められないということになってきましたので,注意が必要です。

B型肝炎再活性化の事例について詳しくはこちらもご参照ください。

(弁護士 澤田有紀)

 

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