B型肝炎が発症して慢性肝炎になっても、自分で気付かれる方はなかなかいらっしゃいません。慢性肝炎の自覚症状が、ほとんどないか、疲れやすい、あまり食欲がない、といった程度だからです。しかし、B型肝炎の無症候性キャリアの方が一旦慢性肝炎を発症すると、治癒することなく長年に渡って肝細胞が破壊され続け、肝硬変や肝がんに至る可能性もあります。 B型肝炎ウイルスに持続感染している方はもちろん、そうでない方も、肝臓の定期的な検査・診察を受け、異常が見つかれば適切な治療を受けるように心掛けてください。
このページでは、肝臓の異常を調べるための、血液検査をはじめとする各種検査の解説をしています。
この記事でわかること
こんな人におすすめの記事です
肝臓に異常がないか調べるには、まず血液検査をします。血液に流出している肝細胞中の酵素やタンパク質の量を測定するなどして、肝機能の状態を調べることができます。
肝炎を発症していないか、発症していればどれくらいの程度かを調べる、基本的な血液検査の数値です。AST (GOT)やALT (GPT)※は細胞の中にある酵素で、肝炎で細胞が破壊されると血液中に流出する量が増えるので、ASTやALTの数値が高いほど肝炎の症状は重いといえます。
B型肝炎給付金請求においては、GPT(ALT)が連続して6か月以上異常値になっていることが慢性肝炎発症を判断する基準の一つになっています。
※AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略称)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼの略称)とも呼ばれていましたが、国際基準の名称であるASTと呼ばれる方が一般的であるため、現在はAST(GOT)と表記されています。同様に、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼの略称)はGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの略称)とも呼ばれていましたが、国際基準の名称であるALTと呼ばれる方が一般的であるため、現在はALT(GPT)と表記されています。
ビリルビンは、古くなった赤血球の分解時に生成される黄色い色素のこと。肝硬変などで肝機能が著しく低下すると、ビリルビンが血液中に流れ、眼球や皮膚に黄疸が出ます。そこで、血液中のビリルビン値を測定すると、肝機能の状態や黄疸の程度が判断できます。
アルブミンは肝臓内で合成されるタンパク質の一種です。肝機能が低下すると、血液中のアルブミン値が低くなるので、肝炎の進行度を調べる血液検査の重要な指標になります。
アルブミンには血液中の水分を一定に保つ働きがあるので、アルブミンが減るとむくみや腹水が発生します。
プロトロンビンは、肝臓で合成される、血液凝固作用のあるタンパク質です。肝機能が低下すると、プロトロンビンが減少して血液が固まるのに時間がかかるようになるので、この時間が一つの指標になります。
肝臓組織を採取して検査します。炎症の有無やがんが発生していないかなどを調べたり、手術方針や治療効果の確認などにも利用します。
超音波を用いて、内蔵から返ってくる反射波(エコー)を画像化して診断する検査です。画像から肝臓の状態を診断しますが、B型肝炎肝は、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに進行する可能性がありますので、定期的にこの検査を受けることが推奨されています。
麻酔をして腹部に小さな孔を開け、細い腹腔鏡(内視鏡)を挿入して、肝臓の表面を見ながら、症状の進み具合行を調べます。この検査中に肝生検も行うことがあります。
コンピュータ断層撮影(Computed Tomography)による画像検査で、肝硬変や肝がんの検査診断にも利用します。
磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)のこと。磁気と電波を利用する撮影方法で、腹部超音波(エコー)検査やCT検査より画像の精度が高く、放射線被曝がなく、様々な角度から撮影できるなどのメリットがあります。