肝がんについて
B型肝炎給付金請求において、肝がんと認定されると3600万円の給付金が支給されます。どのような場合に肝がんと認められるのか、以下に解説します。
このブログの目次
1 原則(B型肝炎訴訟の手引きの基準)
肝がんの認定の基準は、厚生労働省のB型肝炎訴訟の手引きによれば、具体的基準として、「病理組織検査にて、原発性肝がんと診断されている場合」、総合的判断として「医師の診断書+診断を裏付ける診療録+画像検査報告書+血液検査報告書等」により、総合的に原発性肝がんと認められること」との記載があります。病理組織検査がされていなくても、総合的判断として原発性肝がんと認められればOKです。
また、死亡されているケースで、当時の主治医が退職しており、所定の「病態に係る診断書」が提出できなくても、医療記録から原発性肝がんと診断されていることが認められる場合は問題ありません。
2 胆管がんの場合
胆道がんはがんの発生部位別に肝内胆管がん、胆管がん(肝門部領域胆管がんと遠位胆管がん)、胆のうがん、乳頭部がん(十二指腸乳頭部がん)に分けられます。肝内胆管がんが原発性であれば、給付金請求において、「肝がん」として扱われます。
◆以下のようなケースでは、医師がB型と肝がんとの因果関係を積極的に診断してくれず、苦慮することもありますが、当事務所では多数の成功例があります。
3 HBs抗原陰性の場合
B型肝炎のキャリアであっても、肝がんと診断された時点でHBs抗原が陰性の場合では、医師によっては、B型肝がんとの診断書を書いてもらえないこともあり、他の事務所では諦めるようにいわれたというご相談もよく受けます。
しかしながら、HBc抗体の高力価陽性や過去の2時点のHBs抗原陽性の結果などによりキャリアであることが確認できれば、、これまでに経験した事例では、B型肝炎ウイルス感染と肝がん(肝細胞癌)との因果関係をなんとか証明できて、3600万円の給付金が認められた例が多数あります。
4 アルコール性との記載がある場合
先日、無事和解が認められた例です。肝がんでの死亡との死亡診断書がありましたが、B型とは記載がありませんでした。
20年以上前にB型慢性肝炎と診断されたことはありましたが、肝機能も落ち着いて放置されている状況で、亡くなる10年ほど前からアルコール中毒と診断され、アルコール性肝硬変との診断を受けておられました。ご本人は通院を嫌がりその後も放置されていたのですが、亡くなる1か月ほど前に、自宅で倒れ、病院に救急搬送されたところ、末期の肝がんで手の施しようもなく死亡されました。
このような状況で、アルコール性肝硬変との診断が障壁となり、B型肝炎と肝がんとの因果関係の立証に苦慮いたしましたが、粘り強く交渉した結果、B型肝炎と肝がん、死亡との因果関係が認められ、3600万円で和解が成立しました。ご遺族からもとても喜んでいただけました。諦めずに最後まで頑張った甲斐がありました。
5 肝がん発症時にHBs抗原:陰性、HBc抗体:低力価陽性の検査結果しかなかった例
先日、和解ができました。他の法律事務所で断られたとのことでしたが、無事、3600万円で和解が認められました。
そもそも持続感染(B型肝炎訴訟の手引きの「要件1」)を満たさなかったので、どうなるのか不安もありましたが、医学的根拠に基づき、総合的な判断で和解でき、ご家族の方にもたいそう喜んでいただきました。
以上のように、「肝がん」について、かなりの数の和解例を積み重ねてまいりました。基本合意の要件を満たしていなくても、あきらめずにご相談いただければと思います。
(弁護士澤田有紀)
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