カルテが残っていない。亡くなったお父様の和解を求めて

前回ブログでご紹介しましたように,カルテが残っていなくてもやってみようという例が続いたこともあり,証拠が少なくて困難な事例も,依頼者様が望まれるのならベストを尽くそうという思いでいたところ,さらに,困難と思われる事例に遭遇しました。

B子さんはお父様が平成7年にB型肝炎ウイルスによる肝がんで死亡されましたが,当時かかっていた病院には医療記録が全く残っていませんでした。

てがかりは,保険会社に提出した診断書のみ。

国が決まり文句のように要求する「B型肝炎ウイルスに感染していたことを示す検査結果の原データ」ももちろんありません。

やっぱりこれは無理なのかなと思い,B子さんに難しいと思うとお伝えしたのですが,ちょっとでも可能性があるのなら手続きを進めたいという強いご希望がありました。

当事務所としても,完全成功報酬でやらせていただいており,「ダメモト」でもいいといっていただけるのなら,依頼者にご負担をかける心配もないので,どこまでの資料で国に認めさせることができるのか,わずかな手掛かりをつなぎ合わせる努力をして,なんとかお力になりたいと強く思いました。

幸い,保険会社に提出した診断書には,肝がん発症までの経緯が少し詳しく書いてあり,なんとかなりそうな気もしてきましたし,関連する事情を詳細にご家族におうかがいし,それに沿う客観的資料もできるだけ揃えて提訴をしました。

その結果,国もB子さんのお父様がB型肝炎ウイルスによる原発性肝がんで死亡されたことを認め,和解が成立しました。給付金の金額は死亡から提訴までに20年が過ぎていたため除斥期間にかかり900万円でした。

B子さんは,除斥期間にかかってしまったのは残念だけど,金額が問題ではなく,お父さんがB型肝炎によって苦しんできたことについて,国が,その責任を認めたということだけで心の整理がついたのでよかったと喜んでいただけました。

あきらめずに提訴して無事に和解ができたことは,当事務所もお役にたてたという喜びとともに困難事案の克服の自信になりました。

問題のない事案だけ受任して,困難そうな事案は,無理ですよといって依頼者に諦めさせてしまうような対応をしている事務所とは一線を画し,リスクを共有しながら,依頼者と信頼関係を構築して事件処理をするのはB型肝炎給付金請求に限らず,当事務所の事件処理のスタンスです(弁護士澤田有紀)。

提訴日 平成28年3月

和解日 平成29年3月