カルテが残っていない。肝がんで亡くなった奥様の和解を求めて

Aさんの奥様は,平成9年に幼い子供を残して肝がんで死亡されました。肝がんみつかってたった4月でこの世を去られ,ご家族の悲嘆は察して余りあります。

奥様のお兄さんがB型慢性肝炎でB型肝炎給付金請求が認められたことから,奥様も対象ではないかと思って,当事務所にご相談にお越しになりました。

母子感染でないことについては,お兄様の手続きで母親がキャリアでないことはすでに立証できていますので,奥様がB型肝炎ウイルスによる原発性肝がんで死亡されたことを証明できれば3600万円の給付金が支給されます。

そこで,まず,奥様の当時のカルテを取り寄せる必要があったのですが,もう20年近く前のことですのでカルテはすでに廃棄されているとのことで,手掛かりは,死亡原因に「肝がん」と書かれた死亡診断書だけという状態でした。

Aさんは奥さんが病名の告知を受けてから,亡くなるまでの間,奥様の病状日誌をつけておられました。そこに当時の主治医の名前が記載されており,その医師が当時のことを覚えていて証言してもらえないかと考えました。Aさんによれば,当時,主治医はまだ若く,Aさん一家のことをとても心配して,よくしてくれたとのことで,きっと自分たちのことを覚えてくれているはずだとおっしゃいます。

その主治医はすでに当時勤めていた病院を退職しておられるとのことで,たまたまインターネットでその主治医の名前を検索したところ,地元に戻って開業されていることがわかりました。弁護士らの照会に対して,Aさん一家のことをよく覚えているとのことで,B型肝炎ウイルスによる肝がんであることを証明する文書を作成していただくことができました。

このほかにも,出産時にB型肝炎ウイルスに感染していたことを示す妊婦健診の検査結果がみつかり,奥様がB型肝炎ウイルスに持続感染していたことと,そのことによる原発性肝がんを発症して死亡したことが立証でき,無事に和解が成立しました。

当時のカルテが廃棄されていたという時点で,Aさんもほとんど諦めかけておられたのですが,当時の日記を捜しだし,また長男を出産した時の母子手帳の妊婦健診の結果が貼り付けられていたことなどが幸いして,わずかな手掛かりをつなぎあわせた立証が成功して,本当によかったです。

奥様との思い出を大切に保管されていたAさんの奥様に対する愛情が実を結んだのだと思います。

提訴日 平成27年5月

和解日 平成28年4月