除斥期間の起算点について

B型肝炎給付金について、給付金の額が大きく変わるのが「除斥期間」の問題です。起算点から20年たっているかどうかで、たとえば慢性肝炎の場合1250万円の給付金が150万円になってしまうこともあります。そこで、以下、病態ごとに解説します。

 

■無症候性キャリアの方について

「感染した時点」が除斥期間の起算点となります。幼少期の集団予防接種が原因で感染したということからすると、使いまわしの終期(国が注射筒の一人ごとの取替を指導した時期)が昭和63年1月27日までということですので、この時点からすでに20年たっているので、集団予防接種が原因で感染した一次感染者に関しては、全員が除斥期間経過となり、給付金の額は50万円になります。

 

一方、二次感染者(または三次感染者)の方については、20歳未満の方は、感染してから20年たっていないことが確実ですので、除斥期間経過前となり給付金が600万円になります。

 

もうすぐB型キャリアの息子が20歳になるんですという場合には、とりあえず、提訴する必要があります。このような場合は、書類が揃っていなくても提訴すること自体に意味があるので、大至急対応させていただきます。

 

■慢性肝炎の方について

慢性肝炎と診断された時点が除斥期間の起算点となります。医療記録を確認してその時期を特定します。慢性肝炎と診断されてから20年が経過している場合には、原則として150万円です。

300万円が認められるのは、(1) 訴訟提起の日から1年前の日以降にALT(GPT)値の異常があること かつ その日から6か月以上の間隔をあけた別の時点において、連続して、ALT(GPT)値の異常が認められる状態または、 (2) インターフェロン製剤 、 核酸アナログ製剤 、 ステロイドリバウンド療法 または プロパゲルマニウムのいずれかの治療歴が医療記録等が認められること  となっています。

 

近時の最高裁の判断で、慢性肝炎を発症してから20年以上たっている場合でも、最初の発症が「セロコンバージョン前」(すなわちHBe抗原陽性、HBe抗体陰性)の状態で、セロコンバージョン達成後(すなわちHBe抗原陰性、HBe抗体陽性)に再発した場合には、再発時を基準とすべしとの判断が出ておりますので、医療記録を精査して、除斥期間の起算点を正しく把握する必要があります。再発から20年が経過していなければ1250万円となります。

 

■肝硬変(軽度)の方について

肝硬変と診断された時点が除斥期間の起算点となります。医療記録を確認してその時期を特定します。肝硬変と診断されてから20年が経過している場合には、原則として300万円です。

以下のいずれかの条件を満たす方は600万円です

(1) 訴訟提起の日から1年前の⽇以降において、病理組織検査により肝硬変と認められ、当該肝硬変がB型肝炎ウイルスの持続感染と相当因果関係があると認められること

(2) 訴訟提起の日から1年前の⽇以降において、医師の診断書に加え、診断を裏付ける診療録、画像検査報告書及び⾎液検査結果等により、総合的に肝硬変と認められ、当該肝硬変がB型肝炎ウイルスの持続感染と相当因果関係があると認められること

(3) インターフェロン製剤、核酸アナログ製剤、ステロイドリバウンド療法またはプロパゲルマニウムのいずれかの治療歴が医療記録等から認められること

 

■肝がんの方について

最初に肝がんと診断された時点が除斥期間の起算点となります。最初に肝がんと診断されてから20年が経過している場合は原則として900万円となります。

ただし、再発した場合は、最初の肝がんとは別の部位からの多中心性発がんとして再発した場合には、最初の肝がんとは別の被害が発生したとみなされ、再発時が起算点となります。再発から20年たっていなければ、3600万円となります。

 

■死亡の方について

死亡日が除斥期間の起算点となります。死亡してから20年が経過していると900万円となります。

 

★当事務所では除斥期間が目の前に迫っているという場合は、最速で対応させていただきます。とりあえず最低限の見立てができる資料が確認できれば、委任契約と委任状をいただければ、全速力で提訴します。これまでにも何回もこのようなことがありました。郵送でやり取りしている場合、間に合うかハラハラしてしまいますが、コピーでも構わない資料についてはメールやFAXでやりとりすることも可能です。(弁護士澤田有紀)

 

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