非B非Cの肝がん,肝硬変

B型肝炎給付金請求において,病態の認定において,HBVウイルスに起因することの証明は,症状が出た時点でHBs抗原陽性であれば,問題になることは少ないのですが,HBs抗原陰性の場合,悩ましいことになります。

 

肝がんの場合,B型肝炎給付金請求において,肝がん発症時にHBs抗原が陰性でも,HBc抗体高力価であった方で,立証をがんばった結果,HBVウイルスと発症との因果関係が認められて3600万円の給付金が出た事例を取り扱ったことがあります。

 

 

第15回日本肝臓学会の特別企画として「主題ポスター討論:我が国における非B非C肝硬変の実態調査」の集計報告によると,非B非C肝硬変の診断基準として「HBs抗原陰性,HCV抗体かつHCV-RNA陰性(治療でHCV-RNAが陰性化した例は除外する)で臨床的に肝硬変と診断された症例」とされています。

 

B型肝炎給付金請求においては,HBs抗原が陰性でもHBC抗体が高力価陽性であれば,HBVキャリアとして認定されます。上記診断基準からすると,HBc抗体が高力価陽性でも,HBs抗原陰性であれば「非B肝硬変」と診断されることになります。

 

 

前記集計報告によると,非B非Cの肝硬変の成因は,1)NASH(14.5%),2)アルコール性(55.1%),3)脂肪性(2.5%),PBC(8.0%)などとなっています。原因不明が10.5%もあります。この中の対談のなかで原因不明の中でHBc抗体陽性が約半数という報告(信州大),血中のHBs抗原が陰性でも肝組織でHBV-DNAが認められた例が28%あったという報告(兵庫医大)がありますが,結局のところ,HBV既感染と肝硬変との関係は,まだ確かなことはいえないという結論になっているようです。

 

肝硬変とは,肝臓の細胞が一定程度線維化した状態をいいますが,,一旦線維化すれば不可逆的で戻ることはないとされています。線維化の過程にHBVが関与していたとして,その後HBs抗原が陰性化した場合も「非B」という診断になるようですが,B型肝炎給付金請求においては,どのように判断されるのでしょうか。個々の方の状況により,立証を尽くすしかないと思いますが・・・。

現在,ご相談を受けている例があるのですが,実際に提訴した場合どうなるのか,結果がわかるのは2年以上先になると思いますが,このブログでご報告したいと思います。

 

※困難事案で,成功報酬を標準よりも上乗せしている法律事務所もあるようですが,当事務所は,和解で解決できる限りは,そのような費用体系はとっておりません。

弁護士費用は完全成功報酬で給付金の中から実質4%(税別),無症候性キャリアは実質8万円(税別)とさせていただいております。(弁護士 澤田有紀)