画期的判決!「慢性肝炎の発症の起算点は再発時に」
本日,ニュースが出ていました。
B型肝炎給付金請求で,慢性肝炎の病態で,発症から20年以内だと1250万円ですが,20年が経過すると,除斥期間が適用されて請求額が300万円または150万円に大幅に減額されてしまいます。
それが,本日29年12月11日福岡地裁の判決で,除斥期間の起算点を慢性肝炎の再発時とする画期的な判決が出ました。
患者さんの発症の経緯はさまざまで,20年以上前に発症してインターフェロンなどの治療を受けて,症状がおさまり,安定する方もいらっしゃいますが,再発してまた肝機能が異常となり,核酸アナログ製剤(バラクルードやゼフィックスなど)などの薬を継続して飲みつづけなくてはならない方もいらっしゃいます。
ニュースによると,判決によると、50代男性は1987年、60代男性は91年に慢性肝炎を発症し,いったん病状が落ち着いたが、それぞれ2008年と04年に再発し、08年と12年に提訴したとのことです。最初に症状が出た時からの経緯を踏まえて,慢性肝炎の特質や病状の進行を踏まえれば、発症の時点で患者が再発時の損害を請求するのは不可能だったと判断し,その上で、再発時に「質的に異なる新たな損害を被った」と捉え、再発時を除斥期間の起算点としたとのことです。
提訴したのが2008年ということですから,なんんと判決までに9年もかかっていることになります。B型肝炎の特別措置法では,裁判では和解をすることになっていますが,判決まで至って正当な補償を勝ち取ったということですから,頭が下がります。
当事務所においても同様の案件を抱えて和解ができず難渋している事例がありますが,国の頑固な対応に風穴があくことを願います。ただ,今回のニュースではまだ地裁の判決ということですので,国が控訴するのかどうか,確定まで目が離せません。