30年以上前に肝炎を発症という場合

B型肝炎ウイルスのキャリアの方の場合,若いころにHBVウイルスと免疫の葛藤があり,肝炎を発症される方もいらっしゃいます。HBe抗原がセロコンバーションするとHBV-DNAの量が低下して肝炎が収束にむかうことが多いとされています。

その後,無症候性キャリアの状態が続いている方からのご相談で,「過去に発症したことがあるので給付金の額はどうなるのですか」というご質問をよく受けます。

この場合,過去に発症していることが立証できるのかが問題になります。

給付金の区分は,①当時の医療記録が残っているかどうかということと,②発症が,慢性肝炎ではなく急性肝炎かによって異なってきます

①については,30年以上も前に入通院されていて,その後,肝機能が安定して通院をしていないという場合などは,発症当時の医療記録(カルテ)が保管されていないことが多く,発症の事実を証明することが難しくなります。ただ,医療記録(カルテ)が廃棄されていても,手元に検査結果を持っておられる場合や,その他当時の検査結果がわかる資料などを探してみつかった場合には,それで認定されたケースもあります。

②については,慢性肝炎の発症の認定基準は厚生労働省の手引きによると「ALTが半年以上連続して異常値が続いていること」とされていますので,ALTの値が急激に上昇しても安静にしていたり点滴などにより3か月程度で数値が正常値に戻ったという場合は,急性肝炎であり,当時の検査結果が残っていたとしても慢性肝炎とは認定されませんので注意が必要です。

20年以上前に,6か月以上のALTが続いたことが立証できた場合には,除斥期間経過後の慢性肝炎として150万円または300万円の給付金の対象となります。

立証ができなかった場合には無症候性キャリアとして50万円と今後の定期検査などの政策対応の救済が受けられます。

無症候性キャリアでも今後の定期検査が無料で受けられたり,年に2回まで1回あたり15,000円の定期検査手当が支給されます。万一将来,肝機能が悪化して慢性肝炎や肝硬変に至ったり,肝がんを発症した場合には,追加で給付金の請求ができることなどをお話しすると,「それならば,今回の手続きを進める意義があるので資料収集にトライしたい」とおっしゃるかたがほとんどです。

キャリアの方は将来の発症や悪化の可能性を心配されている方が多いのでお気持ちはよくわかります。

実際に肝がんを発症されてから資料を収集しようとしても,その時点で母親が年長のきょうだいが亡くなっていて母子感染の否定の証明ができないというケースもあります。また,無症候性キャリアであることの請求は平成34年1月までの期限内に手続きをする必要があります。思い立った時が行動の時だと思います。当事務所でお役にたてると思いますので,お問い合わせをお待ちしております。