B型肝炎給付金を請求は、何から始めたらいいですか?
お電話で問い合わせをいただく中で,よく聞かれる質問です。
厚生労働省がHPで公開している「B型肝炎訴訟の手引き」をみても,何からしたらいいのかよくわからないですよね。
「何から始めたらいいですか?」というご質問に対しては,まず,その方の状況をお聴きした上で,優先順位をつけてご案内しています。
・まず,対象者かどうか知りたいという場合ですが,昭和16年7月2日以降の生まれかどうかを最初にお聞きします。それ以前の生まれのかたは,対象外となります。
・次に「B型肝炎ウイルスのキャリア」と指摘されていますか?というのが最初のチェックポイントです。
たとえば献血で「過去のB型に感染した形跡があるけれど,いまはなおっている」といわれた方(この場合は「HBc抗体陽性」といわれるだけで数値は不明なので,あらためてHBc抗体の検査が必要です。),健診で「抗体がある」といわれた方(この場合は「HBs抗体陽性」と言われる場合が多いですが,HBs抗体は関係ありませんので,あらためてHBc抗体の検査が必要です。),これらの方は,まずご本人がキャリアかどうかの検査(HBc抗体の検査)から始めていただきます。
すなわち,HBs抗原が陰性の場合は,HBc抗体が高力価陽性であることが要件となります。HBc抗体の高力価陽性については,これまでのブログでたびたび触れていますがCLIA法という検査方法で10以上,CLEIA法の場合には,検査試薬などを確認の上,個別に判断することになっております。
・ご本人がキャリアであることが明らかになった場合に,次のチェックポイントは,「母子感染でないことが証明できるか」です。母親または年長のきょうだいがご存命かどうかを確認し,母親が健在の場合には,母親がキャリアでないことを確認するための検査をご案内します。母親が死亡している場合には母親の生前のHBs抗原の検査結果が探せる状況かどうかおききし,探せる状況であれば,探し方をご案内するとともに,兄または姉がいるかどうかを確認し,兄または姉がキャリアでないことを確認するための検査をご案内します。
・次に,ひょっとしてジェノタイプAeの可能性がないかをこれまでの経緯をおききして,早めにジェノタイプの検査を受けていただく方がよいと判断する場合にはジェノタイプの検査をご案内します。
・同時に父親が存命の場合には父親がキャリアでないかどうかの検査のご案内。もし,父親がキャリアであることが判明した場合は,HBV分子系統比較検査のご案内。
という感じで,以上のチェックポイントがすべてクリアできて,予防接種を幼少期に受けたことが確認できれば,一次感染者として給付金の対象者と判断できます。
以上,文章にすると結構大変だなと思われるかもしれませんが,すべて書式を用意しており,順番にご案内していきますので,安心してお任せください。
先月から,別の法律事務所からの引継ぎ案件を多数受けているのですが,まだ母子感染でないことの証明ができていないのに,高価なHBV分子系統比較検査(6万円以上かかります)を先に受けていたり,戸籍関係一式が先に揃っていたりというケースに遭遇します。これらは,まずはご本人が持続感染者であること,1次感染者について母子感染でないことの証明ができてから,収集する資料です。当事務所では,依頼者さまに無駄な負担が発生しないように,順番にご案内していきます。