HBc抗体の検査についての悩み
B型肝炎給付金訴訟においては,HBc抗体の検査結果が重要な判断指標になっています。
母子感染を否定するために,母親(母親が死亡している場合には年長のきょうだいのいずれか)が持続感染でないことを証明する必要がありますが,HBs抗原陰性で,かつHBc抗体が陰性化または低力価陽性であることが要件となります。
給付金の対象者として認められるかどうかはまさにこの点が重要なポイントになるのですが,HBc抗体の検査についてはこれまでもさんざん苦労してきました。
【検査項目の間違い】
まず,HBc抗体を検査してくださいとお願いしても,HCV抗体が検査されるケース。これはC型肝炎の検査ですから,関係ありません。自治体の肝炎ウイルス検査は無料で実施されることが多いのですが,その場合,HBs抗原とHCV抗体が検査項目となります。従いまして,お医者さんがHBc抗体とHCV抗体を間違えて検査してしまうことが結構あります。
次に,検査項目の間違いとしてはHBc抗体でもIgM―HBc抗体が検査されることもたまにあります。IgM-HBc抗体は,B型急性肝炎の診断の際に感染初期かどうかを調べるもので関係ありません。
HBc抗体(または,IgG-HBc抗体)がキャリアかどうかを判断する指標となります。
お母様または年長のきょうだいがご存命の場合は,検査項目を間違えられても,もう一度検査を頼めばよいのですが,中には,「何回も検査を頼めないのにどうしてくれる」とか「検査後に母親が死亡した」というケースもあり,最初から正確に検査してもらうことがまずは大切です。
当事務所では,これまでの経験を踏まえて,正確に医療機関に検査してもらえるように依頼の書式を改善してきました。
【高力価か低力価か】
HBc抗体が陽性の場合,高力価陽性が持続感染,低力価陽性が一過性感染を示すものとされています。
CLIA法で検査が実施されている場合は,10以上が持続感染,10未満が一過性感染ということでわかりやすかったのですが,以前にもブログで書きましたが,最近はCLIA法ではなくCLEIA法で検査されるケースも増えてきました。
見分け方としては,CLIA法では単位がS/COなのに対し,CLEIA法ではC.O.I.(カットオフインデックス)
となっています。またCLIA法では20以上の値はめったにみませんが,CLEIA法では100前後の値まであります。
医療機関でCLIA法と記載されていても,単位や数値がCLIA法のものではないと考えられる場合も増えてきまして,検査方法についても,気を使わなければならなくなってきました。
(11/14追記)
別の法律事務所からの引継ぎの件で,無症候性キャリアとして,ご本人の検査,両親の検査,戸籍関係,カルテ関係すべて揃っているという方から書類一式引き継ぎました。
要件1の持続感染の要件について,ご本人の検査結果が,HBs抗原陰性,HBc抗体(精密)陽性 18.5 カットオフIDXという検査結果で,検査をしたクリニックの回答書には検査方法CLIA法に〇が付いていました。
しかし,CLIA法にしては数値が大きいこと,単位がカットオフIDX(C.O.I)となっていることから,念のため,クリニックから検査機関がどこかをおききして,検査機関に確認したところ,CLEIA法でした。
CLEIA法では18.5だと,低力価ということになりますので,持続感染の要件を満たしておらず,給付金の対象者とはならないことがわかりました。
ご本人が対象者でないのに,両親の検査や戸籍の収集など,「無駄な負担」だったわけで,ご依頼者がお気の毒でした。
・・・キャリアではなかったということは健康の上からはよいことで,喜ばしいことですが。。。最初から,「みお」さんに頼んでおけばよかったとおっしゃっていただきましたが,HBc抗体については,慎重に,慎重に,確認して進めないと,思わぬことになってしまいます。
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