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母子感染
母子感染父子感染解説
2023.4.16
投稿者:みお綜合法律事務所

HBV分子系統解析検査は必ず実施しなければいけませんか?

■問題の所在

HBV分子系統解析検査(塩基配列比較検査)とは、母子間または父子間での感染の因果関係を判定するための検査です。
・検査費用が二人で65000円程度と高額であること
・検査に対応してくれない医療機関もあること

原則として母子或いは父子が二人そろって医療機関で採血をする必要があるため、離れて居住している場合は大変であることから、どうしてもしないといけないのか、というご質問をよく受けます。

■結論

必ずしも実施しなくてもよい場合があります。
国から検査費用が和解時に支払われる場合と、支払われない場合があります。

■状況別

(1)二次感染者(母子感染)で、母子感染であることを示すため
●原告が昭和60年12月31日以前に出生している場合には、以下の条件をすべて満たすことを証明すれば必須ではありません。
・原告の出⽣前に⺟親の感染⼒が弱かったこと(HBe抗原が陰性であったこと)が確認されないこと
・医療記録等に⺟⼦感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がないこと
・父親が持続感染者でないか、又は父親が持続感染者の場合であっても、原告と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されないこと
・原告のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeでないこと

●原告が昭和61年1月1日以降に生まれている場合は、検査は必須です。

※塩基配列が同定されない場合には、和解が認められても、検査費用は国から支払われません。

(2)父子感染ではないことを示すため
父親がHBVキャリアの場合には、必ず検査をすることが求められます。
ただし、やむを得ない事情により検査が実施できない場合にはその旨を主張すれば検査をせずに和解が認められたこともあります。
※塩基配列が同定されなくても、和解が認められれば、検査費用は国から支払われます。

(3)父子感染(二次感染者)であることを示すため
検査することが求められます。
※塩基配列が同定されない場合には、和解が認められても、検査費用は国から支払われません。

■HBV分子系統解析検査(塩基配列比較検査)の対応している検査会社

SLR社などに限られています。
かかりつけの医療機関がこれらの検査会社と取引をしているかをご確認ください。
少し古い情報になりますが、以前に当事務所で西日本の肝疾患専門医療機関にアンケート調査を実施しましたので、こちらもご参照ください。

B型肝炎の検査ができる専門医療機関

ご相談いただきましたら、状況に応じて、適切にご案内をいたします。(弁護士 澤田有紀)

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