B型肝炎給付金請求と「病態の診断書」について
B型肝炎給付金請求においては,病態に応じて給付金の区分があり,金額が50万円,慢性肝炎(発症後20年以内)1250万円,肝硬変(軽度)2500万円,肝硬変(重度)・肝がん・死亡3600万円などと定められています。
厚生労働省のホームページに記載されている「肝疾患診療連携拠点病院」「肝疾患専門医療機関」,(肝がんの場合のみ「がん診療連携拠点病院」でも可)で「B型肝炎ウイルス持続感染者の病態に係る診断書」に病態の区分やその根拠などの必要項目を記載してもらうと,病態の判断がスムーズに行えます。
この診断書がない場合は,カルテや各種検査等の医療記録に基づき,医学的知見を踏まえて総合的に判断することとされています。
この「肝疾患診療連携拠点病院」「肝疾患専門医療機関」については,その登録数は地域によって大きくばらつきがあります。たとえば,京都市では,個人クリニックを含めて多数登録されていますが兵庫県などは人口が多いにもかかわらず,個人クリニックは皆無で,主だった公立病院や大規模な病院などで,その数もA4の用紙に半分くらいしか登録がありません。
慢性肝炎などで通院されている方は,大学病院や公立病院など大きな病院に通われている方もいらっしゃいますが,待ち時間などを考えて,近くの中規模な病院や個人クリニックで投薬治療を受けている方もいらっしゃいます。ご自身が通っている医療機関が上記リストに載っている「肝疾患診療連携拠点病院」「肝疾患専門医療機関」であればよいのですが,そうでない場合,わざわざ「病態に係る診断書」を書いてもらうためだけに紹介状をもらって「肝疾患診療連携拠点病院」「肝疾患専門医療機関」を受診する必要があるのかどうか。
ある法律事務所では,「必ずそうしてください」というそうですが,当事務所では,「必ずしもその必要はありません」とお答えしています。
もちろん,「病態に係る診断書」があった方が,国の審査がスムーズに進む可能性が高いですが,それがなくても,カルテなどを詳細に検討して,必要な記述をピックアップして,当事務所で国を納得させる主張をすることが可能です。
もちろん治療のことを考えて,専門の医療機関であらためて診察を受けたいということであれば,治療という実益がありますので,ご本人が,そうしたいと望まれるのであれば,そうしていただいていいのですが,死亡された方の事例などで,わざわざ,カルテをもって別の病院に行って診断書を書いてもらってくださいというのはあまりにもナンセンスだと思います。
これまでに多数のB型肝炎疾患のカルテをみてきたおかげで,ある程度の判断は私どもでできますので,安心して「みおにお任せ」ください。